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先日の記事に出ていた論文では証明が不十分だったことがHerbert Kociembaによって指摘されている(彼のコメントを見るにはログインが必要)。Cube Explorerによる総当たりで、試していない組合せがあったのだ。KociembaはKunkleに連絡を取り、Kunkleも試していないことを認めたそうだ。
論文では、レベル3のcoset全てに対して、レベル12と13のQの要素を組み合わせて、約1.4万通りの状態をCube Explorerにかけ、14手以内で解けることを示した。しかし、この両方がそれぞれ、対称性を使って代表元しか持っていない。組み合わせるときに、少なくとも一方は48通りに回転・鏡像を適用してやらなければいけなかったのだ。自分も論文を結構じっくり読んだのだが、気づかなかった。さすがKociemba。
LBLをやっている人は、last layerをOLL、PLLに分解する方法を知っている。OLLは57通り、PLLは21通りあるが、これはすでに回転対称なものを同一視してある。LBL法で解くときにPLL前にAUFをする分がまさしくこれに一致する。完成キューブにPLL、OLLを実行して全部のLL状態を作ろうとしているとき、このAUF分を忘れてしまったようなことが、件の論文では起こっていたのだ。
やり忘れた1.4万×47=約67万通り(実際には対称性のためもっと少ないとは思われる)の中に、15手以上必要なものが見つかる可能性が残っているので、「ルービックキューブは26手以内で解ける」とは証明できていないことになる。さて、Kunkle達はやり直すのかな? 論文の6節には別の効率のよい証明方法が示されているので、そっちの方で26手以下の総当たりをやった方が早いかもしれない。